小さな神社で行われる
大きな熊手のお祭り
西宮神社は七福神の一柱でもある蛭子様を祀っている神社。清水だけでなく葵区にもあり、同じ名前・祭神の神社は全国にあります。
全国の西宮神社では、毎年10月または11月に19・20日に大祭を行い、蛭子様に肖ってタイを食べたり、商売繁盛の熊手を買ったりします。
『おいべっさん』の由来は蛭子様→えびすさま→えべっさん→いべっさんと訛り、"お"を付けて丁寧にした呼び名ですが、全国各地呼ばれ方は違うそうです。
西宮神社大祭(おいべっさん)
清水のおいべっさんは11月19日~20日の開催ですが、屋台などの出店は19日のみ。
20日の昼頃まではお祭りの日程ですが、夜のうちにほとんど屋台は片づけてしまい、お参りと境内の熊手販売のみがお昼ごろまで行われます。
大きなちょうちんが目印
まずはお参りから、大祭の日のみ入口の大鳥居から4つの巨大な提灯(御神燈)が並びます。夕方の交通規制開始頃はかなり混んで行列も。21時の終了間際がいいかも。
境内には熊手やお飾りなどが販売され、神社の向かい側には去年の飾りをお焚き上げ奉納するためのボックスも用意されています。
屋台はかなり縮小(2023)
縁日も開催され、次郎長通り入口~西宮神社入口~港橋~さつき通りと数年前までは見応えある屋台が並んでいました。
コロナ禍以前より縮小傾向、ここのところは年々数が減り、2023年度は次郎長通り~西宮神社入口の間に10屋台ほど並ぶのみでしたね。
19日は12時から深夜まで港橋も封鎖され通行止めになるのですが、屋台自体は縁起物の熊手を販売する2軒のみでした。
2016年頃?の写真。こちらは港橋を越えたさつき通り沿いですね。冬の始まりを告げる祭りとしても、子供も大人も夏祭り同様に楽しんでいたと思います。
おいべっさんの熊手
おいべっさんの熊手は縁起物として自宅や職場に飾ります。おかめや船・小判・鯛、七福神をモチーフにした飾りなどがつけられた豪華なお飾りです。
一番小さいサイズで1000円前後から、写真の上の方に並んでいる予約品は数万円以上の熊手もあるそうで、なかなか高級品。地元の有名企業の名前が並んでいます。
蛭子様は商売の福神様ですが、古来は漁業の神様と言われていた為、みなと町である清水では特に信仰深く、地に根差した商売人であれば毎年必ず熊手を供えるそうです。
おいべっさんの焼き鯛
おいべっさんの日にはお祝いものとして鯛を食べます。蛭子様が持っている鯛に肖るというよりは蛭子様の好物をお供えして、その後頂くという風習です。
スーパーなどでも販売されている場合がありますが、地域に根差した魚屋では、おいべっさんの焼き鯛として店頭で焼きたての品を販売するお店もあります。
ここまでやる家は今はほぼ無いと思いますが、写真のような格式あるおいべっさんのお供えも存在します。大黒様と蛭子様を祀り、正面に掛魚(かけよ)。
左に焼いた真鯛を含めた口取り(お祝いの懐石料理の一種で皿に盛り合わせたもの 内容はおせち料理と同じ)を。
右側に人参と大根、手前になますと赤飯、中央におひらと呼ばれる煮物を出します。どれも大黒様と蛭子様の好物だそうです。
急に大黒様が出てきましたが、縁起物の代表として蛭子様とセットになっています。
普段の日の西宮神社
大きな提灯を吊るす柱は常に立っていますが、提灯が無いと寂しいですね。桜の季節には白い花びらの桜が咲き誇りとっても綺麗です。
正式な経緯はわかっていないものの、慶長以前の創立と推定されており、少なくとも500年以上の歴史がある神社です。
安政の大地震により被災し、1866年に再建されたと記録が残っています。
おいべっさんの力石
境内にある特徴的なものといえば、差し石。娯楽が少なかった時代は、町の力自慢が集まって、重い石を持ち上げる大会が開かれたそうです。
使われた石は『力石』と呼ばれ、おいべっさんの力石は180kgあります。市内各地の神社に同じような力石が置いてありますが、解説がある場所は珍しいです。
石には『差し石 四十八貫目 金杉籐吉』と彫られています。金杉籐吉氏は慶応時代のアマチュア力士で、各地の力比べの大会に出場しては名を挙げていたとのこと。
プロの力士でも肩までしか担げない重い石を頭上まで差し上げる『差し石』という大技を披露し、その技名が付けられたとのことです。
境内には小さな社祠(狐の石像があるので稲荷神社かな?)や特徴的な石柱などもありますが、差し石以外は解説が無く、それぞれの由緒は不明です。
11月の大祭は地元らしさを感じる伝統あるお祭りですので、お近くにお寄りの際は是非見に来てください!桜の季節も綺麗ですよ!
施設情報
施設名 | 西宮神社(おいべっさん) |
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住所 | 〒424-0949 静岡市清水区本町5-2 |