1911年創業
入江商店街の老舗呉服店
清水区入江町、1911年創業の1世紀以上続く老舗呉服店。着物や和服・織物販売の他、着付け教室や着物のクリーニング『悉皆』も行っています。
ちびまる子ちゃんにも登場する入江の町並みを見守ってきた名店で、和服文化の今後や呉服店についてのお話を聞いてきました。
黒田呉服店について
こちらの写真は創業から16年目の昭和2年頃のものですが、昭和10年に現在の場所に移転し、最初の店舗があった場所は黒田呉服店の専用駐車場になっています。
写真右端で座っている方が初代の社長さんだそうです。
黒田呉服店があるのは清水区入江の入江商店街。ちびまる子ちゃんが育った町で、作中に登場した多くの地元のお店はこの入江商店街にありました。
数年前にはちびまる子ちゃんスタンプラリーが清水区内で開催され、黒田呉服店もスポットとなり、グッズなども取り扱っていたとのこと。
呉服店のお仕事:悉皆
呉服店の業務は和服を売ることだけではありません。
クリーニング全般、かび取り、しみ抜き、染め替え、仕立て直しと、大幅なリメイクまで可能な、かなり幅広い着物のお手入れ業務『悉皆』
真っ黒な喪服が華やかな桜色にリメイクするなど、寸法を仕立て変えたりとガラッとイメージを変えることができます。
店頭販売・誂え着物
黒田呉服店ではニーズに合わせた様々な和物を販売しています。和服・着物だけではなく、下駄や手ぬぐい、かばん、入口傍では洋服も扱っていました。
既製品の販売も確かな需要があるわけですが、呉服店のオススメ・人気としては誂え着物(オーダーメイド)が中心とのこと。
誂え着物は単純に自分の理想の柄で作れるというだけでなく、体に合わせて作るので後から調整が利き、寸法を再度合わせるのも容易になるそうです。
逆に既製品は完成されてしまっているので後からの調整が難しいとのこと。
清水湊町シャツ・濱シャツ
もちろん店頭販売の品も。『湊町シャツ&濱シャツ』は綿素材である浴衣生地と手拭い生地から作られていて、着物の和の雰囲気と涼しい風が通る着心地の良さ。
吸収性などの利便性を兼ね備えた、暑い夏にピッタリなシャツです。湊町シャツが襟無し、濱シャツが襟ありとなっています。
デザインも清水港の雰囲気×夏っぽい模様が揃っていて、これからの清水の夏祭りシーズンに着ていきたいと感じる品揃いです。
注染本染の手ぬぐい
注染本染(ちゅうせんほんぞめ)は明治時代に大阪で生まれた染料の注ぎ染め技法。静岡県では浜松が有名です。カラフルで模様も様々な手ぬぐいが店頭販売されています。
表と裏の二度染めで両面が綺麗に、一度に20枚から30枚染めることができる技術だそうです。手作業ならではの繊細なぼかしやにじみの色合いが魅力です。
帯締
引き出しを開けていただくと、並んでいたのは色鮮やかな帯締。帯がほどけないように結ぶ重要な紐ですね。
着物と帯とのバランスを取った後に帯締を決めますが、色も豊富な着物の最後のまとめ役で、帯締のコーディネートで着物姿全体のセンスが決まるそうです。
カジュアルな着物に合わせるタイプの帯締。編み合わせで模様のようにも見え、遊び心がありますね。赤・黒・金を基調に大きく装飾が施されています。
着物を見せて頂きました
こちらは『たけなわ』という名前がつけられたお着物。
淡いピンクから明るい日の色への諧調がとても綺麗ですね。こちらの着物は松と梅がデザインされ、新春にふさわしい柄です。
振袖、こちらも私好みのものを選んでいただきました。
未婚女性の礼装である振袖は華やかな柄で記念の場にふさわしい一着ですが、現代では着る機会の少なさからレンタルが多いそうです。
成人式くらいしか着ないという方もいますからね。他の用途としては自分が結婚するまでは友人の結婚式で着れますよとのこと。
その後は自分の子供へ、そしてまた孫へと世代を超えて大事に受け継がせることのできるのが一点物の価値の一つだと思います。
誂え着物のデザイン
美術本の作品から和の心を持ったワンポイント装飾を帯に付けています。写真の布は薄い青色ですが、もちろん他の色との組み合わせもできます。
これも誂え着物ならではですね。美術本の作品一点一点の意図を調べ、自分が思い描くものに合致した飾りつけができる訳です。
染帯の絵図柄はしっかりタイトルや解説までカバーされていました。こちらのモチーフは勧進帳が有名な歌舞伎の演目です。
着物は時代や流行りに関係なく和の美しさを感じるものということで、歴史ある和文化からアイディアを探す手法が多いみたいです。
それぞれのストーリーから引き算で、大切だと感じる部分を残してデザインに落とし込むのだとか。
デザインには色合いも最重要。着物に合った色見本帳と着物のファッション本と併せて理想のコーディネートを探していきます。
店舗情報
店名 | 黒田呉服店 |
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住所 | 〒424-0831 静岡市清水区入江1丁目8-23 |
連絡先 | 054-366-0620 |
駐車場 | あり |
定休日 | 毎週水曜日・第3木曜日 |
営業時間 | 10:00~18:00 |
詳細 | 公式サイト |